自民に渦巻く「石破降ろし」は完全消滅…岸田前首相にも“商品券問題”が飛び火し再登板が立ち消えに

公開日: 更新日:

 石破首相を窮地に追い込んでいる商品券配布問題が岸田前首相に拡大した。在任中の2022年、首相公邸で開いた政務官との夕食会に合わせ、岸田事務所が10万円分の商品券を参加者に配っていたことが判明した。自民党の歴代政権で慣習化していた疑いが強まり、再登板を狙っていた岸田前首相の野望もパー。党内に渦巻いていた「石破降ろし」の機運も雲散霧消だ。

  ◇  ◇  ◇

 岸田前首相は22年12月20日、公邸で夕食会を開催。招かれたのは各府省庁の政務官で、当時の松野博一官房長官らも出席した。参加人数は不明だが、全体で約30人とみられる。朝日新聞によると、その翌日、岸田事務所の秘書が政務官たちの議員会館事務所を訪問。「総理からです」と手渡した紙袋の中身は岸田前首相の地元・広島の製菓会社のクッキーと茶封筒に入った10万円分の商品券だったという。

 公邸での若手議員との会合に合わせ、首相の秘書が議員会館の事務所を訪ね、10万円分の商品券を渡す。シチュエーションや金額など何から何まで今回の石破首相の手法とそっくり。岸田事務所は「法令に従い適正に行っている」とコメントしたが、悪しき「作法」が歴代総理に代々引き継がれてきた疑いは強まるばかりだ。

 野党は「自民の体質」を問題視。立憲民主党は新年度予算案の審議中である参院予算委員会で、岸田前首相の参考人招致を求めた。岸田前首相の招致実現のハードルが高ければ、政治倫理審査会がある。実績もある。岸田前首相は昨年2月末、現職首相として初めて衆院政倫審に出席。当時は政倫審での弁明を渋っていた旧安倍派幹部に出席をうながすため、呼ばれてもいないのに自ら矢面に立ったのだ。

 野党多数の衆院では、政倫審メンバーも野党が多数を占め、過半数の議決で岸田前首相の審査を求めることができる。審査に応じるかは岸田前首相の判断次第。過去に旧安倍派幹部に「出頭」を呼びかけながら、いざ自分が疑惑の当事者になったら頬かむりは許されないだろう。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  3. 3

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  4. 4

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  5. 5

    N党・立花孝志容疑者にくすぶる深刻メンタル問題…日頃から不調公言、送検でも異様なハイテンション

  1. 6

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  2. 7

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  3. 8

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  4. 9

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  5. 10

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性