イラン・イスラエル12日間戦争 米トランプ大統領「電撃停戦」発表の思惑とは? 識者が解説
イランへの最後通牒から電撃停戦の発表まで1週間足らず。イランの体制転換までほのめかしていた割に、急展開すぎやしないか。上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)が言う。
■ルール無用の姿勢が米外交の悪しき前例に
「トランプ氏の熱心な支持層は、イスラエルを徹底支援するキリスト教福音派です。米国史上最もイスラエル寄りの大統領であるトランプ氏にとって、イスラエルは無視できません。イスラエルがイランの制空権を握ったタイミングで、バンカーバスターでの攻撃に踏み切りました。実際のところ核施設を十分に破壊できたかは不明ですが、トランプ氏は『これ以上、イランも戦いたくないだろう』とみた。いわば、“勝ち馬”に乗ったわけです。一方、アメリカファーストを訴える『MAGA』派の支持者にとって、中東の戦争に巻き込まれるのは受け入れがたい。トランプ氏としては、イスラエルを支援して福音派を喜ばせつつ、アメリカファーストの支持者の反発をくらわない『勝ち逃げ』のタイミングが今だと踏んだのでしょう」
米ロイター/イプソスの世論調査(20~23日実施)によると、米国のイラン空爆継続を支持したのは32%。反対が49%に上った。「世界の警察」の役割に辟易する支持者からも突き上げをくらっている。