決勝Tで相次ぐ延長戦 原因は「サッカーの均一化」にあった
欧州サッカーがヘゲモニーを握り、世界が均一化しつつある。最も影響を受けているのがアフリカ諸国である。今回、ベスト8に進んだチームにアフリカの国はない。元ブラジル代表の故・ソクラテスは、アフリカ諸国がW杯で上位に進出することは難しいだろうと数年前に予言していた。
「アフリカは、かつてのブラジルのように自分たちにしかできないサッカーをしていた。それは目新しいもので、不安定ではあったが、欧州の国々にとっては厄介な相手だった。それが欧州の人間が代表監督になるようになり、枠をはめられた。そして多くのアフリカ人選手が、早くから欧州リーグでプレーするようになった影響もあるだろう。アフリカのサッカーはそのアイデンティティーをなくした」
これはソクラテスの母国、ブラジルにも同じことが当てはまる。フッキたちのようにブラジル国内で経験を積まずに、若いうちから国外リーグでプレーしている選手が増えている。ブラジルらしいジンガ(カポエイラのリズム)を感じさせる選手はセレソンから減っている。
とはいえ、真の強豪国とそれ以下との差はある。力の差に加えて、精神力、コンディション調整の経験――。だからこそ、日本は「欧州組」を多数抱えながら、グループリーグ最下位となったのだ。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)