上沢プロ初完封も 日ハムの収穫は“女房役”近藤の捕手復帰
日本ハムのフロントも胸をなで下ろした。15日のオリックス戦で、先発の上沢がプロ初となる完封劇。これで8勝(8敗)とし、新人王レースを繰り広げるロッテの石川に勝ち星で並んだ。
だが、首脳陣とフロントの視線の先にいたのは、上沢の女房役を務めた捕手の近藤健介(21)。この日は5月2日以来、今季7試合目の捕手出場だ。
近藤は「打てる捕手」として11年ドラフト4位で入団。当時のフロントは「今後、10年は捕手はいらない」と喜んでいたものの、今季のオープン戦で送球イップスに。それでもシーズン序盤はマスクをかぶっていたが、捕手として使いものにならず、栗山監督によって三塁にコンバートさせられていた。
ある球団OBが言う。
「正捕手の大野は順調なら来季中に国内FA権を取得する。年俸3600万円と高くはないとはいえ、日ハムは他球団とのマネーゲームは絶対にしない方針。大野がFA宣言すれば流出は避けられない。だからこそ、将来の正捕手として近藤に期待がかかっていた。他の一軍捕手といえば昨オフに巨人から金銭トレードで獲得した市川くらい。球団も『近藤のイップスが治らないようなら、ドラフトで即戦力の社会人捕手を指名するしかない。ドラフト戦略も変更せざるをえない』と頭を抱えていたほどです」
試合後、「(同じ高卒3年目の近藤とは)1年目に『いつかバッテリーを組めたら』と話していた。リードが良かった」と、笑顔を見せた上沢。一番喜んでいたのが球団であることは言うまでもないだろう。