金田、堀内ら名投手が使った変化球「ドロップ」絶滅したのか

公開日: 更新日:

 プロ野球が開幕して約3週間。ついこないだ、中継を見ていてふと気づいたことがある。「ドロップ」という変化球をさっぱり耳にしなくなったけれど、なぜか。

 東映時代の1971年に史上12人目の完全試合を達成し、その後、移籍した巨人で投手コーチも務めた日刊ゲンダイ本紙評論家・高橋善正氏(70)が言う。

「今で言う『縦のカーブ』をドロップと呼んでいました。古くは400勝投手の金田正一さん、大洋の左腕エースだった権藤正利さんがその使い手でした。落差の大きい権藤さんのドロップは“懸河のドロップ”と形容されたほどです。私と同年代では、巨人の堀内恒夫が筆頭でしょう。打者の肩の高さからストライクゾーンの低めまで鋭く縦に落ちる堀内のドロップは、物理的にはあり得ませんが、相手打者に『一度浮き上がってから落ちる』と言わしめました」

 その投げ方は――。

「ドロップは特殊な球で、投げる際に手首を直角に折り曲げ、その手首をひねりながら親指でボールを上に跳ね上げ、意図的に強烈な縦回転を与えます。それできちんと制球しなければいけないわけですから、習得するには相当な鍛錬はもちろん、手首の柔らかさ、握力の強さ、指先の器用さが必要。投げられる選手は限られていました。私が大洋でコーチをしていた時代(90~92年)、甲子園の優勝投手がいました。彼は球種が少なかったので、『ドロップとまでは言わないが、カーブの練習をしてみろ』と投げ方を教えたら、驚いた顔をして『手首をひねりながらボールって投げられるんですか!?』と聞き返してきた。今から25年も前の話です。思えば、その頃にはもう、ドロップは“絶滅危惧種”になっていたのかもしれません」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手