<第19回>監督の後ろでボソボソとつぶやいた相手選手の特徴

公開日: 更新日:
22日の西武戦で先制2号を放つ(C)日刊ゲンダイ

 大谷の通った岩手の水沢南中学校野球部が、あるとき練習試合に出掛けた。

 大谷は野球部に所属していたものの、一関シニアに通っていたため土日の練習は免除。その日はたまたまシニアの練習がなかったのか、練習試合についてきた。試合には出ず、ベンチの後方で控えの選手たちと応援していた。

 試合が中盤に差し掛かったころだ。ベンチの最前列にいた監督の太田和成(38)はふと、自分の後ろでだれかがボソボソとつぶやいているのに気付いた。

「このバッターは前の打席でサードゴロ。強引に引っ張るタイプだから、打球は三遊間方向……」

 声の主は大谷だった。大谷の中3時の担任で国語科教諭、3月まで青森の浪打中学校に勤務していた太田が、当時を振り返ってこう言う。

「わたしの後ろでね、つぶやくんですよ。『次はファーストですよ』とかね。スゴいなと思ったのは、このバッターは前の打席でどうだったかというのが全部、頭に入ってるところなんです。スコアブックを見て確かめると、ああ、そうだと。自分でスコアを付けているわけじゃない。後ろに立って見ているだけなのにです。それでいて前の打席がセカンドゴロだったから次はどうとか、分析している。わたしなんて監督なのに忘れてる(笑い)。各打者の打席の内容まで全部、インプットしているのがすごいと。(プロになった)いまもそうやってやっているんだろうなぁ、って」

 たまたま野球部の練習試合についてきただけだから、相手チームを見るのはもちろん初めて。にもかかわらず、 

この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。

(残り521文字/全文1,173文字)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった