本人は気づかず打撃 医者が驚いた清宮幸太郎「2度の腰骨折」
安羅岡監督はそれでもベンチには入れた。副主将だった中3直前の春の全国大会を前に幸太郎が「僕を連れて行ってください。気がついたことは何でも一生懸命やります」と直訴してきたからだ。関東の夏季大会では25人のベンチ入りの中で背番号「24」をつけた。
ウオーミングアップが終わると、各選手のヘルメットをケースに片付けた。試合中は一際大きな声で仲間を鼓舞した。声が出なくなっても腹の底から声を絞り出した。
「次は真っすぐが来るぞ!」
幸太郎が叫ぶと、本当に真っすぐが来た。ケガ人をベンチ入りさせることに全員が納得しているわけではなかった。でも、幸太郎はプレー以外の部分で仲間から信頼を得ていく。安羅岡監督が言う。
「本人はつらかったと思いますけど、『ケガが一番勉強になりました。体のケアを考えるいい時間になりました』と言っていた。健康で野球をやれる喜びを痛切に感じていたと思います」
中3の夏に試合復帰した。当初は恐る恐るスイングしていたが、7月下旬の林和男杯、コボスタ宮城で行われた決勝の長崎海星戦で右翼席中段にアーチを叩き込んだ。最後の最後にしっかり腰を回して打った。長いリハビリにピリオドを打った。