著者のコラム一覧
松崎菊也戯作者

53年3月9日、大分県別府市生まれ。日大芸術学部放送学科卒業後は宇野重吉らが率いる「劇団民藝」に所属。その後はコントグループ「キモサベ社中」「キャラバン」を経て、88年にコントグループ「ニュースペーパー」を結成。リーダー兼脚本家として活躍した。98、99年にはTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか!」でパーソナリティーを務めた。現在も風刺エッセイや一人芝居を中心に活躍中。

おいテレビ局 モハメド・アリと具志堅用高、この差はなんだ!

公開日: 更新日:

 モハメド・アリはビッグマウスだった。大口は弱さの裏返し。しかし、彼は強かった。大口を叩いて自分を鞭打ち、強さに磨きをかけた。12歳の時に父親から買ってもらった自転車を盗まれて、「盗んだやつを叩きのめしてやる」と泣き叫んだ時、街でボクシングを教えていた警官に「叩きのめす前に、喧嘩の方法を覚えることだ」と誘われてボクシングを始めた。喧嘩の方法を教えたのは少なくとも父親じゃなかったのだ。

 何かというと口を出し、息子をチャンピオンにするためなら当たるを幸い罵り、この国じゃもっとも嫌われる「子どもの喧嘩に親が出る」モンペ親父とはここが違う。

 アリは強打の世界チャンプ、ソニー・リストンをぶちのめし、ベトナムへの兵役を拒否してヘビー級タイトルを剥奪されるが、無敵のフォアマンを倒して返り咲き「キンシャサの奇跡」といわれたんだ。おい、どっかのモンペ親父は、「僅差なら奇跡ちゃうやろ」とか言いそうだが、キンシャサちゅうのは試合開催地アフリカの地名じゃ、だぁ~っとれ!

 アリは時に、あやしい誘いに乗って異種格闘技戦などもやったが、それだってわざわざ格下の弱い相手ばかりを選んでベルトを防衛させたモンペ親父のように、保身に走ったわけではない。つまらん試合で相手は卑怯にも足ばかり狙ったが、蝶のように舞ってかわしてみせ、相手は以後「アリキック」というのを見せ物の必殺技として儲けさせてもらった。国際親善としちゃ上出来の痛み分け。そういう遊びも含めて、アリは自由で強かった。引退後は黒人の権利保護の活動を続け、難病パーキンソン病のキーパーソンでもあった。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは