日本人初100m9秒台も 桐生祥秀“五輪メダル”へ厳しい現実

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 まるで世界記録でも出したような騒ぎっぷりだった。

 陸上男子の桐生祥秀(21)が9日、日本学生対抗選手権で日本人で初めて10秒の壁を破る9秒98をマーク。NHKが急きょニュース速報を流せば、民放各局も速報テロップで「日本人初」を即座に伝えた。

 翌日はスポーツ紙だけでなく、朝日、読売、毎日の大手紙も1面トップで取り上げていたが、スポーツファンの菅野宏三氏(ビジネス評論家)は「ちょっと驚きましたね」とこう続けた。

「日本で初の9秒台ですからスポーツ紙は当然にしても、日経も1面でしたからね。週末の桐生報道は、東京五輪100メートルのファイナリスト(決勝進出)やメダルの期待さえ抱かせるような扱いでした。でも、9秒98を1回出したからといって五輪で上位争いができないことは素人でも分かる。陸上競技はメダルが取れる種目が少ない。東京五輪に向けてマスコミは注目度を上げたいのでしょうが、世界の現状や桐生選手の課題など、冷静な報道がほとんどなかったのは残念です」

 確かに、これで桐生の記録が今後も順調に伸びるとか、「日本人初の9秒台」に刺激を受けた山県亮太(25=自己記録10秒03)や多田修平(21=10秒07)、飯塚翔太(26=10秒08)らが、短期間のうちに次々に10秒の壁を破るかといえば、そんなに甘いものではない。1998年バンコク・アジア大会で伊東浩司が10秒00を出し、「日本人の9秒台は時間の問題」といわれてきたが、19年の時を経て、やっと「9秒98」である。

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