著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ボストンマラソン優勝の川内優輝「プロ宣言」の衝撃と計算

公開日: 更新日:

■陸連方針へのアンチテーゼ

 そもそも持久走は秋から春の種目。日本陸連も夏のマラソンは邪道だと80年代の世界選手権には宗兄弟、瀬古、中山らを派遣しなかった。

 それが91年の東京の世界陸上から手のひらを返したようにメダル至上主義にはしり、いまや2020年夏に向けてなりふり構わぬ本末転倒ぶりである。ボストン優勝は、陸連の方針へのアンチテーゼである。さらに、川内は帰国した空港で、埼玉県庁職員を辞しマラソンに専念するとプロ宣言した。生ぬるい実業団環境に馴染んだ選手には耳が痛い話だろう。いまの選手は寺沢徹や君原健二のころと違い、元日のニューイヤー駅伝だけが仕事のような競技生活を送っている。1年を1日で過ごすよい男――これまでも市民ランナーの星・川内にやられっぱなしで、「おまえはアマかプロか、どっちなんだ」と改めて突きつけられたようなものだ。もちろん川内にも計算はある。ボストンのビッグタイトルがあれば、世界中からオファーがあり、出場交渉も可能だ。先頭集団はアフリカ勢ばかりの現状に日本人ランナーは貴重ということも織り込んで、ここぞとばかりに勝負を仕掛けたのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動