著者のコラム一覧
小野俊哉ノンフィクション作家

1961年岡山出身。スポーツ・アクセス㈲取締役社長。早大理工学部卒、味の素、住友金属工業を経て、03年同社設立。プロ野球、メジャーリーグの記録を分析、評論し各メディアやメジャー球団に情報を提供している。

軟投派へ変身した中日・松坂大輔は“カットボール王子”か?

公開日: 更新日:

秘策①「初球ストライクを取れ」

 投手が打者に対して主導権を握るための原則だが、レッドソックス1年目に15勝した時が62%。一流の目安は63%。初球ストライクだと出塁率.254(被打率.205)。初球ボールだと同.407(同.280)まで悪くなる。今季は58%とやや低いものの初球ボールで.383(.182)、初球ストライクで.269(.197)。被打率を両方2割未満に抑えているのは立派だ。

秘策②「対角線を使う投球」

 前記の数字はこれが効いているのだ。右打者には内角高めと外角低め、左打者へは外角高めと内角低め。今季の松坂は140キロ前後でストレートと変わらない軌道のカットボールの制球が絶妙で(ストライク率61%)、全配球中最大の40%。交流戦ソフトバンク柳田から2三振を奪ったのは内角低めへのカットボール。外角ストレートと縦のスライダーとを組み合わせて強打者を翻弄しているさまは痛快だ。実は、松坂のこれ以上ないお手本がチーム内にいる。142キロのストレートとカットボール、120キロ台のスライダーが松坂と同じ。07年日本シリーズで8回を完全に抑えた右腕。13年にはノーヒット・ノーランを達成した山井大介(40)のことだ。

 8回完全では24人の打者に対して初球ストライクが実に21人。対角線を使う投球で踏み込ませなかった。打者を牛耳るのに必要なのは剛速球より四隅を使う制球力なのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  3. 3

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  1. 6

    落合博満さんと初キャンプでまさかの相部屋、すこぶる憂鬱だった1カ月間の一部始終

  2. 7

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  3. 8

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  4. 9

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず