山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

ミスタータイガース掛布が阪神の監督にならなくて良かった

公開日: 更新日:

 なにしろ、阪神監督は厳しい批判にさらされる仕事である。それは掛布監督になっても同じことで、当たり前のことだがチーム成績が悪ければ掛布バッシングが巻き起こり、齢60~70代という人生の晩節にして世間からの評価を急落させる恐れもある。つまり、掛布監督の誕生とは、彼の監督能力についての答えが容赦なく出てしまうことを意味しているのだ。

 その人物がカリスマであればあるほど、現実的かつシビアな結果というのは「見てみたいけど、見るのが怖い」といった矛盾をはらんでいる。だったらもう、掛布雅之の監督像とは、その真の正体が明かされないまま、いつまでも虎党の夢や幻想として輝き続けたほうがいいのかもしれない。

 大相撲の名横綱や人気プロレスラーがガチンコの格闘技に参戦したことで、その幻想的なカリスマ性が失われた前例は枚挙にいとまがない。神聖なる名横綱はマットに突っ伏す無残な姿を見せてはいけない。そうなるリスクのある戦いに身を投じてはいけない。阪神屈指のレジェンドである掛布雅之は私生活でどんなに汚点を残そうとも、野球ではミスタータイガースのままでいてほしい。

 そう考えると、現在の掛布雅之が背負っている肩書もなんだか魅力的に思えてくる。阪神のオーナー付シニアエグゼクティブアドバイザー(略称SEA)。そう、このわけのわからない謎めいた感じがいい。我らがミスタータイガースは“なんだかよくわからないけどすごい人”でいいのだ。

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