著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

中日・岩瀬ほどの大投手がMVPに一度も選ばれなかった意外

公開日: 更新日:

 西武松井稼頭央広島新井貴浩巨人杉内俊哉中日荒木雅博ら、今季も多くの名選手が現役を引退した。中でも中日の大クローザー・岩瀬仁紀の引退は個人的に感慨深いものがある。私は虎党だから、クローザーといえば全盛期の藤川球児が思い浮かぶのだが、そんな球児の先にはいつも岩瀬がいた。

 ご存じ、岩瀬が記録した通算1002試合登板と407セーブはいずれもプロ野球史上最多であり、かつて大魔神と恐れられた横浜の名クローザー・佐々木主浩をもはるかに上回る。さらに最優秀中継ぎ投手や最多セーブなどの個人タイトルも数々獲得し、中日のリーグ優勝や日本一にも幾度となく貢献。岩瀬は頂点を極めた投手であった。

 しかし、なぜか彼にはシーズンMVPの経験がない。これだけの成績を残したレジェンド中のレジェンドであり、優勝経験も豊富なのだから、普通に考えれば1度や2度はMVPに“選ばれて”いてもおかしくないのだが、ただの一度もない。

 この“選ばれて”というところがミソで、MVPは記者の投票によって選出される。つまり、岩瀬は2005年に当時の歴代最多となる年間46セーブを記録して初の最多セーブに輝いたときも、その翌年に2年連続で同タイトルを獲得して中日をリーグ優勝に導いたときも、いずれも防御率1点台とほぼ完璧な火消しぶりを見せながら、多くの記者からその年の最優秀選手だと認識されていなかった、ということだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした