山田隆道
著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

不祥事で話題に “故郷”を失った近鉄OBの切なさと悲しみ

公開日: 更新日:

 その意味では、ブルーウェーブも今は消滅したといえるわけだが、現在のオリックスはかつてのオリックスと同じ運営母体であることなどを考えると、実質的に完全に消滅したのは近鉄だけだろう。今も社会のどこかに数多く存在している近鉄OBたちは、自分がかつては栄光のプロ野球選手であったことを今も継続的に実感できる、あるいは後世に示せる故郷みたいなものを失ったのだ。

 そう考えると、これはプロ野球選手のセカンドキャリアを支えるうえでマイナス要素になるのではないか。たとえ引退後に野球とは別の道に進んだとしても、その人がかつてはプロ野球選手であったという看板は一生ついてまわるもので、それが時には人生の助けや支えにもなり、仕事上の武器にもなる。なにしろ幼いころから猛練習を積み重ねた末につかんだ大看板だ。すべてのプロ野球OBにとってNPBとは誇りであり、自分が主に所属していた球団はアイデンティティーだろう。

 だから、近鉄OBはやっぱり悲しい。年月が進むにつれ、近鉄という球団を知っている人は減っていく。今の若い世代は近鉄OBと言われてもピンとこないだろう。

 そして、その流れはこの先も進み、いつか近鉄は歴史の遺物となり、近鉄OBのプライドやアイデンティティーは実体のないまま浮遊する。今回の不祥事とは関係ないかもしれないが、なんとなく考えさせられた次第。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    木村拓哉ドラマはなぜ、いつもウソっぽい? テレ朝「Believe」も“ありえねえ~”ばっかり

    木村拓哉ドラマはなぜ、いつもウソっぽい? テレ朝「Believe」も“ありえねえ~”ばっかり

  2. 2
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    木村拓哉×堺雅人「共演NG」情報の火元…盟友関係の2人がナゼ? 妻同士も交流があるのに

    木村拓哉×堺雅人「共演NG」情報の火元…盟友関係の2人がナゼ? 妻同士も交流があるのに

  5. 5
    打撃は異次元のレベルへ昇華、野手専念の今季が「三冠王」の最初で最後のチャンス

    打撃は異次元のレベルへ昇華、野手専念の今季が「三冠王」の最初で最後のチャンス

  1. 6
    水原一平様には「ラウンダーズ」を…「勝負を始めて30分でカモを見つけなければ自分がカモになる」

    水原一平様には「ラウンダーズ」を…「勝負を始めて30分でカモを見つけなければ自分がカモになる」

  2. 7
    膳場貴子さすが“引き継ぎのプロ” 新サンモニ初回でスポーツ音痴白状したのも奏功

    膳場貴子さすが“引き継ぎのプロ” 新サンモニ初回でスポーツ音痴白状したのも奏功

  3. 8
    平野紫耀は「TOBE」の“フロントマン”で大躍進! すさまじい経済効果に広告業界も熱視線

    平野紫耀は「TOBE」の“フロントマン”で大躍進! すさまじい経済効果に広告業界も熱視線

  4. 9
    村雨辰剛さんが語る愛猫メちゃんとの日々「ともに自立して生きている 距離感が心地よい」

    村雨辰剛さんが語る愛猫メちゃんとの日々「ともに自立して生きている 距離感が心地よい」

  5. 10
    岸田首相「6月解散」強行なら自公81減、過半数割れ、下野もある! 野上忠興氏が議席予測

    岸田首相「6月解散」強行なら自公81減、過半数割れ、下野もある! 野上忠興氏が議席予測会員限定記事