著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

「スーパーボウルの100倍」が物語るメジャーリーグの地位

公開日: 更新日:

 漫才のようなやりとりは、4月26日に行われた日米首脳会談で起きた。

 日本人にとって天皇の即位がスーパーボウルと比べてどれくらい重要かを尋ねたドナルド・トランプに対し、安倍晋三が「スーパーボウルよりも100倍重要だ」と答えると、トランプは「そういうことなら、行きましょう」と即座に訪日を表明した。

 会談後の記者会見で首脳同士のやりとりの一部始終を話したトランプもトランプであり、天皇の即位とプロアメリカンフットボール・NFLのスーパーボウルを比べたトランプをたしなめられなかった安倍も安倍と言えよう。

 その一方で、トランプ側としては首脳同士の会話をあけすけに記者団に語ることで安倍との親密さを演出しようとしたことは明らかだ。また、安倍にとっても、トランプの素朴な質問に当意即妙に答える様子が紹介されれば、巧みな交渉能力を強調できるから、悪い話ではない。言わば、日米両首脳の思惑が一致した結果が、トランプによる「スーパーボウルよりも100倍」という逸話の披露であった。

 ところで、ここで注目すべきは、トランプがスーパーボウルを引き合いに出して天皇の即位の意義を尋ねた点だ。

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