実業団陸上の“飼い殺し制度”は公取委の指摘で変わるのか?

公開日: 更新日:

「おそらく制限は撤廃されるでしょうが、これは恥ずべきことです」

 スポーツライターの津田俊樹氏がこういうのは、17日に公正取引委員会(以下=公取)が発表した「スポーツ事業分野における移籍制限ルールに関する独占禁止法上の考え方について」の件だ。

 スポーツ界における移籍制限の実態調査を進めてきた公取は、「人材(選手)の獲得を巡る公正かつ自由な競争という観点からみた場合に、その合理性や必要性について十分に検討した上で設定されたとは言い難いものが多く存在することが認められた」という。

 顕著な例が、日本実業団陸上競技連合が設けている、選手の移籍制限だ。

 実業団の選手は所属チームから退部証明書を交付してもらわなければ「円満移籍者」とは認められず移籍希望チームに無期限で登録申請できない。つまり、所属チームの指導方針や練習法が合わなくても退部届にハンコを押してもらえない限り、嫌でも我慢するか、陸上をやめるしかないのだ。前出の津田氏がこう語る。

「実業団陸上の選手が移籍できず、いわゆる飼い殺しにされていることはずいぶん前から問題視されていた。実業団側がこの規則を作ったのは『主力選手の引き抜き防止策』というが、そもそも移籍の自由化を認める気などサラサラないから知恵を出し合うこともなかった。移籍制限ではないが、女子レスリング伊調馨が練習拠点を変更して強化部長から嫌がらせを受けたことが世間を騒がせた。選手の移籍を認めないことはパワハラの温床ともいわれてきたのに、国の機関に指摘されなければ改革できないとは恥ずかしい限りです」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

  2. 2
    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

  3. 3
    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

  4. 4
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 5
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  1. 6
    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

  2. 7
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  3. 8
    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

  4. 9
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  5. 10
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗