著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグ機構の規制緩和で加速する「球団売買」のウラ側

公開日: 更新日:

 これまで、大リーグは投資ファンドが複数の球団の株式を保有することを禁止してきた。異なる球団の株式を持つことで利益相反を招くことを未然に防ぐためだ。

 だが、今年、大リーグ機構は方針を変更し、投資ファンドが複数の球団の少数株主となることを解禁した。投資ファンドが複数の球団の経営権を握ることは問題だが、株式の過半数を支配せず、少数株主であるなら重大な利益相反は起きない、という理屈だ。

 このような方針転換は、球団の所有者の意向を反映したものだ。なぜなら球団の資産価値の上昇は実際の売却額の高騰をもたらすものの、買い手が付かなければ、どれほど所有者が球団を売りたいと思っても経営権を手放せないからだ。資金調達能力のある投資ファンドが複数の球団の株主となれれば、より円滑な球団の売買が実現する可能性が高まる。

 実際、大リーグ機構の規制緩和に応じる形でニューヨークに本拠を置くガラティオート・スポーツ・パートナーズ(GSP)は5億ドルの投資ファンド「GSPベースボール・ファンド」をつくり、1口100万ドルの出資者を100人募集している。今年11月に実業家のジョン・シャーマンが率いる投資家グループがロイヤルズを買収し、12月には著名なヘッジファンド投資家のスティーブ・コーエンがメッツ株の80%を獲得すべく筆頭オーナーであるフレッド・ウィルポンと交渉していることが明らかになった。

 今回の機構による制度の変更により、ますます球団が「魅力ある商品」となり、持ち主の交代が加速することだろう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  2. 2

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  3. 3

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  4. 4

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  5. 5

    日本語ロックボーカルを力ずくで確立した功績はもっと語られるべき

  1. 6

    都玲華プロと“30歳差禁断愛”石井忍コーチの素性と評判…「2人の交際は有名」の証言も

  2. 7

    規制強化は待ったなし!政治家個人の「第2の財布」政党支部への企業献金は自民が9割、24億円超の仰天

  3. 8

    【伊東市長選告示ルポ】田久保前市長の第一声は異様な開き直り…“学歴詐称”「高卒なので」と直視せず

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?