落合は「絶対に当てないから大丈夫」と涼しい顔で言った
■10分遅刻した阿部に命じた正座
2001年、新人だった阿部慎之助は開幕から正捕手を務め、夏前に疲労がピークに達していた。
練習量が減る横浜スタジアムや神宮でビジターの試合がある場合、若手はジャイアンツ球場で10時半開始の打撃練習を行っていた。
そんな時、当時の長嶋監督に「慎之助は朝練を休ませたらどうかな」と言われた。私は「配慮しますから、このままやらせてください」とお願いし、長嶋監督も了承してくれた。
ある日、ナイター明けの阿部が朝練に10分ほど遅刻した。私は室内練習場のケージ横に正座をさせたまま、打撃練習を見学させた。プロの世界では一分、一秒が大切だと自覚して欲しかった。とはいえ、今なら「パワハラ」で即クビになっていただろう。
コーチの助言に拒否反応を示さずにチャレンジする。試合前、DeNAの4番だった筒香がよく阿部のもとに挨拶に来た。打撃論を交わしたり、時には疑問点を聞いたり、年下の選手からでも吸収しようとするなど、好奇心旺盛で貪欲だ。12年に・340で捕手史上最高打率を記録。三冠王こそ逃したものの、打率、打点の「2冠」に加え、最高出塁率のタイトルも獲得した。17年8月に2000安打を達成。私の想像をはるかに超える左の大打者に成長した。


















