履けば好記録という打ち出の小槌…厚底ナイキの故障リスク

公開日: 更新日:

■前傾、フォアフット、重心移動

 前出の平山氏は続ける。

マラソンは高速化が著しく、短距離ランナーの体の使い方に似てきた。スタートしてから30~40メートルぐらい先のフォームです。短距離選手はかかとを着いて走らない。土踏まずから小指の付け根(ミッド部)、親指の母指球で着地するフォアフット走法です。前傾姿勢のフォアフット走法だと重心移動で走ることができる。右足を出したら左足の動きを呼ぶ走りなのでエネルギー消費が少ないため、30キロを過ぎてからもスピードが落ちない。世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(35=ケニア)はレース終盤でも1キロを2分50秒台前半で走ることができる。だからこの厚底シューズは地面を蹴る多くの日本人の走りには向きません」

■体が追いつかない

 さらに平山氏はこう語る。

「日本人の多くは着地部分が、ヒール(かかと)から土踏まず(ミッド)、そして指(フォア)へと3カ所を使う。体幹をうまく使えない人も多い。日本人の中・長距離のトップランナーでさえも、厚底を履くと筋肉に違和感があるというほどです。レベルの低いランナーでもこのシューズを履けばスピードは出るし歩幅も伸びるでしょうが、筋力などがそれに追いつかず、膝やふくらはぎなどの故障につながります」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」