志摩ノ海を突き動かす「師匠と野望」 幕尻でもV争い大躍進

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 土俵の主役は平幕なのかと勘違いしそうになる。

 近年、平幕の躍進がめざましい大相撲。今年1月場所は徳勝龍が初優勝し、先場所も新入幕の翔猿が11勝4敗。そして今場所、優勝争いを演じているのが前頭17枚目、幕尻の志摩ノ海(31)だ。

 13日目は大関貴景勝と1敗対決。大関の回転の速い突っ張りに耐えると、土俵際から反撃。低い姿勢で下から押し上げた。最後はいなされて体が1回転したところを押し出されたものの、大健闘と言ってもいいだろう。

 貴景勝に負けたとはいえ、それでも2敗をキープ。まだ優勝の目がなくなったわけではない。

 近大相撲部から木瀬部屋に入門するも、2年目の2013年に左ヒザの前十字靱帯を断裂。それでも腐らず、這い上がってきた苦労人だ。昨年5月場所で新入幕を果たしてからは、幕内に定着している。

 ある親方は今場所の躍進について、「師匠のアドバイスが大きい」と、こう続ける。

「本場所では取組を終え、支度部屋に戻れば翌日の対戦相手がわかる。しかし、志摩ノ海はあえて支度部屋では耳を塞ぐ。そして部屋に戻り、師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)から、『明日の相手は誰々だ。こんなタイプの力士だから、こういう相撲に注意しろ』など、アドバイス付きで相手の名前を聞くようにしている。木瀬親方は現役時代は平幕止まりだが、部屋の関取は7人を抱えるように、相撲への見識は深く、指導力にも定評がある。志摩ノ海もそんな師匠を信頼しているからこそ、下手に先入観を持たないよう、師匠から対戦相手の名前を聞くようにしているのではないか」

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