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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

アリゾナ州は数百億円の経済効果より医療崩壊回避を優先

公開日: 更新日:

 同州では開始から1カ月後に中止となった2020年で約3億6000万ドル、18年は約6億4000万ドルの経済効果があったと推定される。従って、自治体側が無観客での実施ではなく延期を要求したのは、経済面から考えれば大きな損失だ。

 無観客となれば州の内外からスプリングトレーニングを見学する人々の流れは途絶え、宿泊施設や飲食店の利用者も減少する。開催延期の場合は「スプリングトレーニング特需」そのものがなくなる可能性があり、地域経済が受ける打撃はより大きくなる。

 それでも、各自治体が機構に延期を求める書簡を送付したのは、アリゾナ州を取り巻く状況の厳しさのためだ。

 米国疾病対策センターによれば、1月24日の時点でアリゾナ州の感染者数は10万人当たり95・1人と全米最多となっており、短期間で収束する見通しは立っていない。こうした状況では、たとえ各球団が大リーグの40人枠に登録されている選手のみを参加させたとしても、それぞれの指導者や関係者を含めれば、少なくとも1000人近くが州外からアリゾナにやって来ることになる。

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