橋本新体制で“聖火の乱”!組織委のリレー運営に地方猛反発

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 迷走の末、女性蔑視発言で辞任した森元首相の後任に決まった東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子新会長。18日の会見では、神妙な面持ちで「深く反省している」と過去のセクハラ問題をわびたが、今後は「中止」の判断を含め難しいかじ取りを迫られる。早速、自治体からは「聖火リレーに協力できない」と不満が噴出。トップ人事のドタバタを機に“聖火の乱”が顕在化してきた。

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  ◇  ◇  ◇

「現状では五輪開催に反対」「聖火リレーにも県としては協力できない」――。17日の会見でこう主張したのは、島根県の丸山達也知事だ。念頭にあるのは、政府や都の新型コロナ対策の不備。同県は聖火リレーの警備費用など約7200万円を予算化しており、知事の判断でストップも可能だ。ズサンな対策が解消されなければ、五輪には協力できないと迫った格好である。

「丸山さんは保守分裂となった2019年の知事選で、自民党本部の推薦候補を破り当選。当時、対立候補を支援した地元重鎮の竹下亘・元総務会長は18日、『知事の発言は不用意』と不快感を示したように、知事と党本部はいまだに険悪です。リレー中止発言は党本部から『菅自民への“口撃”』とみられています」(政界関係者)

 丸山知事の発言に政局的な側面があるとはいえ、聖火リレーを巡っては、以前から地方の不満がくすぶっていた。

 東京五輪に関し著書がある作家の本間龍氏が先月21日、読書家の清水有高氏が運営するユーチューブチャンネルで興味深い発言をしている。

 本間氏によると、組織委は1月中旬、都道府県の担当者を集め、聖火リレーの開催要領に関する説明会を開催。都道府県側に「聖火リレー実施日から30日前に緊急事態宣言が出されていた都道府県では、リレーを中止するということでどうか」と提言した。

担当職員はゲンナリ

 すると、都道府県側からは異論が噴出。「リレーをやれる県とやれない県で差が出るのは不公平だ」「どこかで宣言が出ていたら全国で中止すべき」といった意見が出たという。結局、結論は出ずじまい。ある組織委関係者はこの会合の事実を認めた上で、日刊ゲンダイに「説明に当たった組織委職員は心身共に弱り果て、疲れ切っていた」と打ち明けた。

 鳥取、広島両県知事も「丸山知事の気持ちは分かる」と同調。コロナ禍での聖火リレー開催を巡り、かねて地方には不満のマグマが鬱積していたということ。それが、組織委のトップ人事のゴタゴタをきっかけに表面化したわけだ。改めて本間氏に聞いた。

「予定通りランナーに走ってもらうのか、聖火到着式だけに簡略化するのか、それとも一切走らないのか、組織委は各自治体に一律の指針を示していません。運用方針がハッキリしない上、経費は自治体負担。不満噴出は当然です。丸山知事のような意見は、以前から地方の間でくすぶっていた。そんな中、組織委は会長人事でドタバタですから、『もう協力できない』と怒りの声が上がるのは自然の流れでしょう。今後も同様の動きが拡大する可能性があります」

 リレーは来月25日スタート。橋本新会長に「聖火の乱」を平らげられるのか。「政治の父」の森元首相の政治力に頼ったら、本末転倒である。 

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