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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

先行き不透明な米経済が大リーグに与えるダメージの深刻さ

公開日: 更新日:

 米国の消費者心理を示す指標であるミシガン大学消費者信頼感指数は、2021年2月の確報値が昨年8月以来最低を記録した。今回の結果は消費者の景況感の悪化を示す。

 一方で株価は上昇。米国の代表的な株価指数であるS&P500は昨年3月に新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて急落したが、その後は持ち直し、8月には株価が史上最高値を更新した。米国債の長期金利も上昇。金利の上昇は将来的な経済成長や物価騰貴への期待を示す。そのため、短期的には好ましい現象である。

 だが、長期的に見ると過度な物価騰貴が続くと通貨の価値の下落や資産価値の減少をもたらし、企業活動や家計に悪影響を与える。実際、2月下旬に入ると株価が下落した。消費者心理の悪化や上昇を続けてきた株価の下落、さらに長期金利の上昇と、コロナ禍でも回復の傾向を示してきた米国経済の先行きは不透明なように思われる。

 投資家たちが中心的な存在となっている現在の大リーグの経営陣にとって、株価の下落や金融当局が株式相場の過熱を防ぐために引き締め策を講じることは、金融資産の減少という点で好ましいことではない。

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