著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

先行き不透明な米経済が大リーグに与えるダメージの深刻さ

公開日: 更新日:

 10年前に比べ、米国の企業の収益は名目上の数値で2割以上上昇しているのに対し、金利は2ポイント以上低くなっている。そのため、収益が目減りしたとしても企業には余力があり、金利も上昇の余地があることがうかがわれる。従って、株式相場で株価が乱高下することが大リーグの経営陣に大きな影響を与えることは、現時点では考えにくい。

 しかしながら消費者心理の悪化が続く場合、人々は米国経済全体だけでなく自分の勤め先の経営状態や収入への不安から支出の見直しを行うことになる。この時、最初に吟味されるのが趣味や娯楽にかかる費用だ。

 10ドル、20ドルといった比較的手頃な価格の座席を用意するだけでなく、300ドルから400ドルと高額な席も設けることで収益を確保するという大リーグの手法は、コロナ禍の前後で変わりがない。むしろ、昨年は公式戦が無観客であっただけに、今季は昨年の入場料収入も回収しようと、各球団は高水準の入場券料の見直しには消極的でさえある。

 それだけに、これからも景気の先行きに不確実さが増すようなら、観客は家計維持のために支出のかさむ球場での観戦を諦めることになりかねないし、現在保有している年間入場券の更新を断念するかも知れない。

 市場を完全に操ることは困難であり、消費者の心理も移ろいやすい。球団経営者たちに油断は許されないのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ前監督・吉井理人氏が佐々木朗希を語る「“返事もしなかった頃”から間違いなく成長しています」

  2. 2

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」

  3. 3

    矢沢永吉ライブは『永ちゃんコール』禁止で対策も…B'z『客の大熱唱』とも通じる“深刻な悩み”

  4. 4

    菊池風磨のカウコン演出に不満噴出 SNS解禁でSTARTO社の課題はタレントのメンタルケアに

  5. 5

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  1. 6

    巨人ドラ1岡本和真 本塁打1本「小遣い1万円」に祖父母悲鳴

  2. 7

    「将軍 SHOGUN」シーズン2も撮影開始 2026年は柄本明、平岳大ら海外進出する日本人俳優に注目

  3. 8

    辰己涼介は楽天残留が濃厚 ソフトバンク東浜巨らFA行使“残り物”たちの気になる行方

  4. 9

    新大関・安青錦に追い風? 八角理事長が看破した横綱・大の里「左肩回復遅れ」

  5. 10

    ブルージェイズ岡本和真に「村上宗隆の2倍」の値段がついたカラクリ