著者のコラム一覧
後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

コロナ禍で露呈した正体 IOCは“世界最大のスポーツ興行主”

公開日: 更新日:

 コロナ禍は「平和の祭典」「スポーツの祭典」と称されたオリンピックとIOCの正体を世界にさらした。IOCは、スポーツを通じた理想世界を目指す「オリンピック・ムーブメント(運動)」の推進者ではなく、「オリンピック・モーメント(惰性)」に伴う利益確保に血眼な「世界最大のスポーツ興行主」だったのだ。

 これを端的に示すのがIOC幹部の言動だ。新型コロナが欧米でも感染爆発した昨年3月になって、IOCは東京大会の延期を決める。感染は世界に広がり、バッハ会長は同年5月のインタビューで中止の可能性にも言及した。

 ところが、東京大会の調整委員長で、IOC副会長のコーツ氏は昨年9月、「コロナがあろうとなかろうとオリンピックを開催する」と唐突に表明した。感染収束も、ワクチン接種もない時期の発言の背景にあったのは、32年大会開催地選考だ。

 コーツ氏は豪オリンピック委員会会長でもあり、豪ブリスベンは招致運動を行っていた。モリソン豪首相は昨年11月に訪日し、菅首相との同日夕の会談に先立ち、バッハ会長と会談した。IOCは今年2月、32年大会優先候補地にブリスベンを選ぶ。豪大手メディア「ニューズ」は、「モリソンとオリンピックのボスの会談が秘密兵器となった」と伝えた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性