後藤逸郎
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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

「多額の税金を投入するのだから五輪は開催すべき」は暴論

公開日: 更新日:

「1年延期で多くの経費がかかっている」

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長は、2月26日の報道各社とのインタビューで再延期を否定し、オリンピック開催に強い意欲を示した。

「多額の税金をつぎ込んでいるから、開催すべき」という主張は、「サンクコスト(埋没費用)」を無視した暴論だ。

 東京大会につぎ込まれた税金は巨額だ。2013年の招致段階で7000億円余りだった大会予算は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う延期費用約3000億円が加わり、1兆6440億円にのぼる。12年ロンドン大会の約1兆5000億円を上回り、過去最高だ。会計検査院は関連費用を含め大会予算が3兆円に迫ると指摘した。

「コンパクト五輪」を掲げた東京都の猪瀬直樹知事(当時)はツイッターで「誤解する人がいるので言う。2020東京五輪は(中略)世界一カネのかからない五輪なのです」と主張していた。国民の懸念がまさに的中した。

 サンクコストは、「初期費用」や「維持費」と同様、事業についての意思決定に影響する要素だ。ただ、サンクコストは支出済みで、中止や撤回しても取り戻せない費用だ。オリンピックを開催しようが中止しようが、支出済みの金額は増減しないのだから、意思決定の根拠にしてはならない。

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