1984年ロス五輪はエポックメーキングな大会だった

1984年1月のゼロックス・サッカー、日本代表対コリンチャンス戦（Ｃ）共同通信社

　話をロス五輪のサッカーに戻そう。

　モスクワ五輪と同様に「Ｗ杯予選もしくはＷ杯本大会に出場した欧州と南米の選手は五輪に出場できない」という規定があったが、それに該当していないプロ選手の出場が認められたという意味でエポックメーキングな大会となった。

　前回モスクワ五輪優勝のチェコスロバキア、銀メダルの東ドイツ、銅メダルのソ連、さらに実力国のハンガリー、ポーランドらの不参加は残念だったが、優勝したフランスはラコンブ、４位のイタリアはバレージ、セレナ、晩年は清水エスパルスでプレーしたマッサーロ、西ドイツでは浦和で活躍して監督も務めたウーベ・バイン、ブッフバルトといった選手たちの出場が認められた。

　ちなみに準優勝のブラジルにはガルボン、後にジュビロ磐田でチームの成長に多大な貢献をした若き日のドゥンガがいたが、実はこの時のブラジル代表は、クラブチームのインテルナショナルがブラジル代表として出場していた。ブラジルのサッカー連盟が、五輪を軽視していたことがよく分かるエピソードだ。

　その後、サッカー王国のブラジルが唯一、手にしていないのが〈五輪の金メダル〉ということになり、優勝を意識した態勢で五輪に臨むようになるが、1988年ソウル五輪は決勝でソ連に敗れ、銀メダルに終わる。1996年アトランタ五輪では、オーバーエイジ（ＯＡ）枠を利用して勝ち上がったが、結局は銅メダルに終わった。2008年北京五輪も銅メダル。2012年ロンドン五輪では、決勝で伏兵のメキシコに敗れて銀メダル止まりだった。ようやく前回2016年に地元で開催されたリオ五輪でＡ代表のエース・ネイマールを擁して悲願の金メダルを獲得した。