セ・パ前年最下位球団の同時Vは史上初! ヤクルトとオリックスに共通するもの

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 プロ野球の90年近い歴史の中で初めてだという。

 今季、セはヤクルト、パがオリックスという前年最下位チームが優勝を飾った。ともに下馬評は単勝万馬券レベルだったが、上位人気かつ金満球団の巨人阪神ソフトバンク楽天を見事に蹴散らした。

 先日、関大名誉教授の宮本勝浩氏は、オリックス優勝の経済効果が約230億円と試算した。ヤクルトも一部の自社商品のセールが予定されるなど効果が見込まれる。コロナ禍で観客動員数に上限が設けられるなどマイナス要素がなければ、さらに経済は潤ったに違いない。

 そんな2球団の勝利は改めて、「優勝はカネだけで買えるものではない」ことを証明した。日本人選手の平均年俸(選手会調べ)を見ると、ヤクルトが7位で、オリックスは最下位。外国人選手を含めた総年俸も決して高くない。

 それでも、ヤクルトは、山田、村上の中軸コンビに加え、投手は高卒2年目の奥川が後半戦に破竹の勢いで勝ち星を重ねた。

ビジネスのプロが組織マネジメントを分析

 オリックスも同様、吉田正、杉本の3、4番がドッシリしていて、エース山本の大活躍はもちろん、高卒2年目の宮城が13勝をマークしてチームの躍進に大いに貢献した。

■生え抜き中心の結束力

 人材コンサルタントでビジネス評論家の菅野宏三氏が言う。

「高津、中嶋両監督の手腕はもちろん、人材育成、編成面の成功が大きいと思います。生え抜きのエースと4番がいて、ベテラン、中堅、若手がそれぞれ持ち場で力を発揮している。年齢構成のバランスも非常にいい。MVP候補であるオリックスの大エース・山本は2016年ドラフト4位の叩き上げで、ヤクルトの村上も17年外れ1位。外れ外れ1位の山田先輩のあとを追うように、実力によってどんどん名を上げている。他の若手、中堅、ベテランにしても名前と顔が一致しない選手が多い(笑い)。裏を返せば、それだけチームが活性化し、多くの選手が戦力になっている証拠です。130試合制だった昔とは違い、143試合という長丁場を勝ち抜くには、単なる外部からの補強、ヘッドハンティングだけでは足りない。限られた支配下、育成選手の中から、いかに多くの選手を戦力に仕立てるかが重要です」

■ベテランと若手の融合

 菅野氏はさらに、経験豊富な大ベテランとエネルギッシュな若手の存在が大きいと指摘する。

「ヤクルトは石川、青木、オリックスは能見、平野といった職人肌で気骨ある大ベテランが精神的支柱となった。その一方で、首脳陣としては計算を立てづらい奥川、宮城、紅林という『二十歳の新米選手』が120%、150%の力を発揮。チームに大きな相乗効果をもたらした。3連覇した時の広島は黒田、新井という大ベテランがいて、鈴木、大瀬良ら若手が大きな戦力になったのと似ている。一般企業でも、先輩の背中を見て若手が育つことも大事ですが、新米社員ががむしゃらに働いたり、大きな仕事を取ってきたりする姿を見て中堅、ベテランが刺激を受け、組織が活性化されるケースも多い。さらに言えば、下積み時代から苦楽を共にしてきた生え抜きの数が多ければ多いほどチームが結束し、ここ一番で力を発揮しやすい傾向もあります」

 スポーツの組織だけにメンタルの部分は大事。ドラフトと戦力外により毎年入れ替わりが激しく、結束を高めづらい分、チームのまとまりも重要になる。

 ドラフトと育成による地道なチームづくりは、黄金時代を築く上で不可欠。ヤクルトとオリックスは、「一発屋」で終わりそうにない。

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