新庄が95年に突然の“引退宣言”で大騒ぎ…「福岡で焼き鳥屋をやります」とキッパリ

公開日: 更新日:

福間納(元阪神選手、コーチ)

新庄剛志という教え子が阪神へ入るんで、よろしく頼みます」

 1990年春のキャンプ前。福間氏(70)の元に、一本の電話がかかってきた。新庄監督の母校・西日本短大付高の浜崎満重監督からだった。

「松下電器時代、都市対抗の補強選手として新日鉄堺に行った時に浜崎さんが在籍していて。僕のことをふと思い出して、連絡をくれた。新庄君は89年ドラフト5位で入団。キャンプの打ち上げを高知・安芸の宿舎でやった時、新庄君に声をかけて、『浜崎さんから、よろしくと言われてるから、困ったことがあったら何でも言ってこいよ』と伝えたら、『はい、わかりました』と頭を下げた。僕は当時40歳手前で、新庄君は18歳。親子ほど年が離れていたし、『ところで、俺のこと知ってるか?』と聞いてみた。そしたら『いえ、知りません』と(笑い)。ハッキリと言われてショックでしたけど、あけすけで愛嬌がありました」

 その後、新庄監督は盟友の亀山努氏と共に「亀新フィーバー」を巻き起こす。ところが、阪神の顔となったのも束の間、95年オフの契約更改後の会見で突然、「野球に対するセンスがないと見切った」と引退宣言をして、大騒ぎになった。

「僕は当時、解説者をやっていて、それからすぐに新庄君を含めて何人かで食事をしました。『野球をやめるって、これからどうするんや?』と聞いたら、『福岡に帰って焼き鳥屋をやります』とキッパリ言うもんだから驚きました。老婆心ながら『タイガースの新庄だから、みんな注目してくれるんとちゃうんか?』と言ったんですけど、新庄君はそれはそれでいいんです、という感じであっけらかんとしてました。悩むそぶりもない(笑い)。結局、引退は撤回しましたけど、ポジティブさが凄いと思ったし、俺もこういう人間になれたらいいな、と思いました。その後はメジャーや日本ハムでも活躍し、今や監督ですからね」

メジャー球団ロゴ入りジッポーを虎首脳陣に

 野村克也監督時代の2000年の後半戦開幕前、投手コーチだった福間氏がコーチ会議の部屋に入ると、テーブルにたくさんのジッポーライターが置いてあった。福間氏がスタッフに「これ、どうしたんや?」と尋ねると、「新庄が球宴に出ることができたお礼として、監督、コーチにと用意してくれたんです」という。こうした気遣いは何度かあったそうだ。

「確か、全てのジッポーにメジャー球団のロゴが入っていて。僕はヤンキースをもらった。今でも大事に持ってます。選手から首脳陣にプレゼントなんて、普通はそんなことしませんよ。その年のオフ、新庄君はメッツへ移籍しましたが、もしかしたらその意思表示だったのかもしれませんね(笑い)」 (この項終わり)

*この記事の関連【動画】もご覧いただけます。


▽福間納(ふくま・おさむ) 1951年、島根県生まれ。大田高、松下電器(現パナソニック)を経て、78年ドラフト1位でロッテ入団。81年阪神移籍。83年最優秀防御率を獲得。85年の優勝、日本一に貢献。90年引退。98年から2001年まで阪神投手コーチ。11年オリックス投手コーチ。

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