著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

(2)バッハ会長はプーチン大統領に甘すぎた 「政治的中立」を「矛」として使うべきだった

公開日: 更新日:

 15年に22年冬季五輪開催地が北京市に決定し、権威主義の国での五輪開催を覚悟しなければならなかった。

 一方で自国主義が世界の趨勢となる流れがあった。16年には英国で国民投票が行われEU離脱が選択され、17年には米国でトランプ政権が誕生した。さまざまな場面で政治的対立が起こり、オリンピックが巻き込まれることが予測できたからだ。

■オリンピック外交の役割

 バッハ会長が「政治的中立」を持ち出したのは、オリンピックを政治から守るための「盾」であったが、同時にオリンピックの政治的使命を果たすべき「矛」として使うべきだった。北京冬季五輪バイデン大統領マクロン大統領、ショルツ首相を招き、習近平主席とともにプーチン大統領を囲み、オリンピック外交を繰り広げれば良かった。人類の祭典という掛け値なしの場を提供することで戦争回避ができた可能性がある。オリンピック休戦の実践とはそういうことなのに、傍観した。矛盾を恐れず、矛と盾を巧みに使うべきだった。 (つづく)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった