巨人のザル守備はV逸の方程式…ここまで「12球団ワースト32失策」には2つの元凶

公開日: 更新日:

 巨人がおかしい。

 2020年から2年連続でチーム失策数がリーグ最少の堅守がウリだった。しかし、今季は17日現在でセ・リーグどころか、パの西武の30をも上回る32。12球団ワーストとなっているのだ。

【写真】この記事の関連写真を見る(06枚)

 15日の中日戦では、0-2の二回1死一、二塁から投手強襲の当たりを二塁手・北村が素手でキャッチして慌てて一塁へ送球。これが暴投となってファウルゾーンを転々とする間に二走の生還を許し、3点目を失った。

 14日の中日戦でも、二塁の広岡が初回先頭の守備でゴロを捕球しながら転倒してしまい、一塁に送球できなかった(記録は内野安打)。原辰徳監督(63)は「あれをヒットにしているようでは、やっぱり投手に申し訳ないなという感じ」と苦言を呈し、三回の守備からベンチに下げた。広岡はリーグワースト2位タイの5失策。試合に常時出場していない控え選手としては異例の多さだ。長打力のある打撃が評価されて出場機会を得ていたが、堪忍袋の緒が切れた原監督に15日に二軍送りとされた。

■代役と助っ人の守備力が不安定すぎる

 ロッテ、西武で二塁手として活躍し、ゴールデングラブ賞を3度受賞した山崎裕之氏がこう指摘する。

「今年の巨人はエラーにならない守備のミスも目立ちます。坂本と吉川と二遊間のレギュラー2人が揃って離脱していたとはいえ、代役の守備力が不安定過ぎる。外野の両外国人に象徴されるように、巨人は打撃が優先されるところがある。ただ、広岡の場合は打率が2割に届いていない(.184)。長打力の評価といっても本塁打もゼロなので、二遊間を任せるには心もとないと言わざるを得ません」

 山崎氏が指摘するように、目を覆いたくなる新助っ人2人の守備も拙守続き。動きが緩慢なポランコは、12日のDeNA戦でライナー性の打球をグラブに入れながらはじき、二塁打にしてしまった。そんなポランコより大きな問題を抱えているのがウォーカーである。

 打球の追い方は危なっかしく、さらに問題なのがスローイングだ。中継に入る内野手への送球をグラウンドに叩きつけたり、上にふかしたり……。カットマンに普通に投げることすらできず、10日のDeNA戦でも初回無死満塁から左翼への浅い飛球で、三塁走者にタッチアップを許した。「レフトに打球が飛んだら、迷うことなく次の塁へゴー」というのは、すでにセ5球団の共通認識となっている。巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言う。

「ポランコは14日に9打数連続安打をマークした打撃が好調だからまだ分かりますが、まともに投げられないウォーカーの左翼の守備は、投手の立場からすると、つらいところ。あれでは走者が二塁や三塁にいる時は、右打者のインコースに投げられませんから。つまり、バッテリーの配球も偏らざるを得ない。コトは投手にも波及するわけです。今までリーグで一番失策が少なかったのに、今年の巨人はムダな失点をやってしまうので、接戦に勝ち切れなくなりますよね」

内野専属コーチ不在の守備軽視

 3年連続ゴールデングラブ賞の坂本も5失策でリーグワースト2位タイ。故障で離脱する前は同ワーストを走っていたのだから、異変といえば異変である。

「私が自分の感覚と体の動きに若干のズレを感じたのは35、36歳の頃。坂本はまだ33歳。老け込む年ではありませんが、レフトのウォーカーのカバーに振り回されていることもあって、足が動かなくなっているようにも見えます。以前、大相撲の北の富士親方が『若くして昇進すると早く引退するケースが多い』と言っていた。坂本は高卒2年目の19歳からレギュラーとして出ずっぱりなだけに、今が過渡期なのかもしれない。坂本が衰えているとしても、坂本の代わりの選手はどこにも見当たらないわけで、巨人にとってこれが一番大きな問題といえます」(前出の山崎氏)

 それにしても、なぜ巨人はこんなにポロポロやるチームになってしまったのか。

「やはり守備の専属コーチがいないことも一因でしょう。外野守備は亀井コーチが担当していますが、内野守備担当の村田修コーチの肩書は打撃兼内野守備。現役時代は三塁で主砲だったため、どうしても打撃のコーチに重きが置かれがち。作戦兼ディフェンスチーフの阿部コーチはバッテリーの担当だろうし、元木コーチはヘッド兼オフェンスチーフ。職分と責任の所在が曖昧です。昨年も守備の専任を置かず、野手チーフコーチとか野手総合コーチの肩書ばかりで、懸念していた。守備を重視するなら、二遊間出身の専任コーチを置かないとダメ。昨年まで在籍していた石井コーチ(現DeNA野手総合コーチ)や現チームでは川相ファーム総監督あたりが適任だと思うが、両外国人を使っていることでも分かるように、原監督は打撃力を優先する。ディフェンス面を軽視しているようにも見える、指揮官のチームづくりも関係していると思います」(前出の高橋氏)

 昨季、セで失策数が最多だった阪神がシーズン終盤にヤクルトに逆転されたように、楽天が参入した05年以降で失策数がリーグワーストのチームが優勝したのは、セでは11年の中日のみ。

 ポロポロやるチームは頂点には立てないというのは、歴史が証明している。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状