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友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

クレメンスの四男がメジャーデビュー 親子MVPも可能な金の卵がゴロゴロいる背景

公開日: 更新日:

 5月31日にサイ・ヤング賞を7度受賞した大投手ロジャー・クレメンスの四男コディ・クレメンス(26)がタイガースでメジャーデビュー。メディアで大きく報じられた。

■親子大リーガーは史上252例目

 親子メジャーリーガーは史上252例目なので珍しくはない。それでも世間の注目が集まったのは、親子メジャーリーガーは父クレメンスが長年、実現できずにいたからだ。

 クレメンスが、その宿願成就に向けて放った最初の矢は長男コービーだった。2005年にアストロズ入りしたコービー(三塁手)は7年かかって何とか3Aまで昇進したが、結果を出せず挫折した。

 2本目の矢は三男のケイシーで、通常より1年遅い大学4年終了時に(おそらくコネを使って)ブルージェイズに入団。貧打が改善されないうえ、バーで用心棒と揉めてボコボコにされる事件があったため2年半で解雇された。

 3本目の矢となった四男コディは18年に3巡目指名でタイガース入団。大学野球で活躍した実績があるため期待されたが、プロ入り後は打撃面で伸び悩みセカンドのレギュラー候補としてのメジャー昇格は絶望的になった。

 しかし、ウエートトレーニングの成果が出て昨年、格段にパワーアップ。さらに自分を内野のすべてのポジションをカバーする便利屋につくり替えたことで今年5月末にメジャーデビューがかなった。米メディアはこうした十数年に及ぶ苦闘の物語があったことを知っているからこそ大きく報じたのだ。

有利な条件ずらり

 クレメンス家による親子メジャーリーガー誕生はイバラの道だったが、その一方でこの5年間にブルージェイズではゲレロとビシェットが急成長。親子メジャーどころか親子MVP誕生の期待が高まり、さらに打撃職人フェルナンド・タティスを父に持つタティス(パドレス)の出現で「親子大リーガー」は格段に存在感を増した。

 この傾向は今後も続く可能性が高い。なぜなら元大リーガーの息子には、以下のような有利な条件があるからだ。

①大リーガーはキャンプ中、家族と過ごすため、子供たちは父の同僚たちからハイレベルな指導を受けられる。

②米国の中、高、大学はスポーツ3シーズン制のため野球は春の4カ月しかやらないが、元大リーガーの家は金持ちなので息子はオフの間、高い月謝が必要な練習施設に通ってコーチの指導を受けられる。また、夏休み中はプロ球団のスカウトたちが集うショーケースリーグにも参加させてもらえる。

③大学進学の時は父の出身校である強豪校が奨学金付きで勧誘にくる。

 など、何かと恵まれているのだ。

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