著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

テキサス州で銃乱射事件が起きても…米球界が規制推進に積極的にならない決定的理由

公開日: 更新日:

 米テキサス州ユバルディの小学校で児童19人を含む21人が死亡した銃乱射事件は、「銃社会・アメリカ」の暗部を改めて浮き彫りにした。事件の発生を受け、連邦議会では上院議員のクリス・マーフィーが演説し、「われわれは何をしているのか」「われわれは何のためにここにいるのか」と繰り返し、銃規制への無策を批判した。

 これまでも連邦政府による銃規制の推進を求めながら、全米ライフル協会(NRA)を筆頭に各種のロビー団体の厚い壁に阻まれてきたマーフィーの演説は実感のこもったもので、米国内外から多くの共感の声が寄せられた。

 また、大統領のジョー・バイデンもツイッターに「今こそ、この苦痛を行動に移す時だ」と投稿し、連邦議会でも「いつになればロビー団体に立ち向かうのか」と議員たちに奮起を促している。

 だが、NRAのようなロビー団体だけでなく、銃器産業とは関係のない一般市民の間でも、「人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」という米国憲法修正第2条の条文を根拠に「銃の所持は固有の権利」と考え、あるいは「自衛のために銃は不可欠」という考えは珍しいものではない。そのため、今回のような銃乱射事件が起こるたびに人々は事件が起きた現場で哀悼の意を捧げるものの、銃規制の話題となると多くの人が消極的な態度を示すのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  5. 5

    さらなる地獄だったあの日々、痛みを訴えた脇の下のビー玉サイズのシコリをギュッと握りつぶされて…

  1. 6

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  2. 7

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    福山雅治イメージ大暴落…「路上泥酔女性お持ち帰り」発言とファンからの"賽銭おねだり”が時を経て批判集中

  3. 3

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  4. 4

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  5. 5

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  1. 6

    福山雅治がフジ第三者委「有力番組出演者」と認めた衝撃…NHKの仕事にも波及不可避、ファンは早くも「もうダメかも…」

  2. 7

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  3. 8

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  4. 9

    【独自!】国民民主党にまた不祥事…63歳“激ヤバ”新人都議がコンサル報酬「不払い」でトンズラ

  5. 10

    【武道館チケット入手記念】2013年ザ・タイガース武道館公演の感想「発掘」