著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

大型FWのオランダ小川航基は「呼ばざるを得ないと思わせる活躍をしたい」と気迫を押し出した

公開日: 更新日:

小川航基(NECナイメンヘン/FW/26歳)

 かつて「東京五輪世代のエースFW」と位置付けられ、日本代表デビューとなった2019年東アジアE-1選手権・香港戦(釜山)でいきなりハットトリックを達成した小川航基(NECナイメンヘン)。 

 その後は代表から遠ざかっていたが、今夏のオランダ1部移籍直後の2ゴールで復帰待望論も高まった。

「開幕2戦で2点取っただけで(メディアに)取り上げてもらって凄く有難いですけど、今までいる選手との序列を覆すのは簡単じゃない。『自分を呼びたい』と思わせる活躍をするべき」と本人は自らを戒めた。

 身長186センチ・体重80キロという大柄な体躯と鋭い得点感覚が買われ、2017年U-20W杯(韓国)の頃は「東京五輪世代の筆頭FW」と評価された小川。

 同大会には今の日本代表の主力である板倉滉(ボルシアMG)、冨安健洋(アーセナル)、堂安律(フライブルク)らも名を連ねており、小川も彼らとともに東京五輪、カタールW杯と順調に歩んでいくと思われた。

 だが、2016年に入団したジュビロ磐田で思うように出番を得られず、長い足踏み状態を強いられた。

 2019年にはJ2・水戸へレンタルされ、7得点。自信を取り戻したかと思われたが、復帰した後も磐田では停滞が続いた。

「このままじゃいけない」と一念発起した彼は2022年に出身地のクラブである横浜FCへ完全移籍。J2ながら26ゴールを挙げ、得点王&MVPに輝く。

 これには桐光学園高の先輩・中村俊輔(現横浜FCコーチ)も「航基のことはジュビロに入った頃から『この子は甘くて大丈夫かな』と思ってた。でもこれだけ点取ったでしょ。やっぱ選手は決めつけちゃいけない」と驚き半分に語ったほどだ。

 4年ぶりのJ1挑戦となった今季も前半だけで6点を奪い、長年の海外移籍を現実のものにした。

「プロになって2~3年で海外へ出ていくつもりだったのが、ここまで来てしまった。『遅かった海外移籍』だと思います。でもこれが現実で、自分が招いたこと。ラストチャンスと言われる25歳の移籍だけど過去は変えられない。今から海外で点を取って、代表に入って、どんどんステップアップしていけば問題ないと思ってます」と小川はNEC移籍が正式決定した7月、こう強調していた。

 異国での適応はスムーズに進んだ。プレシーズンマッチから得点を挙げ、8月13日の今季オランダ1部開幕・エクセルシオール戦では堂々と1トップで先発。待望の新天地初得点も奪い、幸先のいい一歩を踏み出した。 

 続く18日のヘラクレス戦でも連続弾をゲット。代表候補として存在感を一気に高めたのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋