「実際のところ二刀流を勧める立場でもなければ、考えたことも、その発想すらなかった」

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米国行き希望なのに強行に指名した理由

 ──投手としてはともかく打者としては高卒1年目からいけると。

「自主トレで入ってきたときに、ティーバッティングが素晴らしかったんですよ。形がいいだけという選手もいますけど、本当に素晴らしかった。周りで見ていたコーチも、これはバッターだよと。バッターにしなきゃと。それから何日かしてブルペンで投げたら、これはピッチャーだよと(笑)。それくらい、どちらもいいものをもってました。もちろん高卒1年目の選手がいきなりやれるほどプロは甘くないし、僕らもそんなことは分かってるんだけど、栗山さんなら使ってくれるかもしれないと、バッターとして。

 アメリカに行きたがっている本人を無理に入れたように見えますけど、このままアメリカに行くより、ウチに来れば栗山さんならなんとか育ててくれるだろうと、結果が出るかはともかく、我慢して育ててくれるだろうという思いがあった。だからこそ強硬に指名したんです。とにかくスゴい素材の選手だけに、なんとかモノにしたいし、ウチには栗山さんという人もいるだけに絶対、この選手はウチに来た方がプラスになると思えばこその指名でした」

 ──それでもメジャーで本塁打王、MVPを2度獲得するような選手になるとは……。

「思いませんよ。冗談で当たり前でしょ、思ってましたよって言いたいところですけど、本当にまさかですよね。特にU18のときには先発ピッチャーとしてダメでしたから。素材はすごかったけれども、実績がない。甲子園の大阪桐蔭戦で本塁打を打たれ、KOされましたし。ただ、よくよく考えてみれば、自分のものをもっているというか、分かってるというか、どういうふうにしたらいいかということも分かってるんだろうし。努力するということに対する才能はものすごくあったでしょうね。それは見抜けませんでした」(【最終回】に続く) 

  ◇  ◇  ◇

 大谷はその思考法や振る舞いでも、他の選手とは一線を画していたようで、山田スカウト顧問を度々仰天させてきた。

●関連記事【続きを読む=最終回】…ではそれらのエピソードに加え、山田スカウト顧問が苦笑交じりに語る大谷とのドライすぎる関係性が収録されている。

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