著者のコラム一覧
菅谷齊東京プロ野球記者OBクラブ会長

1943年、東京都生まれ。共同通信社でV9時代の巨人をはじめ、阪神などを担当。1970年代からメジャーリーグも取材した。野球殿堂選考代表幹事を務めたほか、三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。現在は東京プロ野球記者OBクラブ会長。

戦争犯罪者を収容「巣鴨プリズン」で行われた戦犯慰問試合…跡地はいまサンシャインシティに

公開日: 更新日:

 今年は戦後80年。1945(昭和20)年3月の東京大空襲などを特集するメディアが見受けられるが、東京裁判(極東国際軍事裁判)で裁かれた戦争犯罪者(戦犯)を収容した巣鴨プリズンでプロ野球の試合が行われている──。裏面史に潜む一ページである。

 東京裁判は46年5月に始まり、48年11月に判決が言い渡された。間もなく「平和に対する罪」を問われたA級戦犯7人が死刑に。処刑があったのは巣鴨プリズンだ。

 その巣鴨プリズンで野球の試合が行われたのは52年3月28日。カードは読売ジャイアンツVS毎日オリオンズで、一軍ではなく二軍同士の試合だった。両チームを持つ全国紙が政府の要請に応じたのである。

 試合は9-3で毎日の勝利。三回表、毎日に先制点をもたらす適時打を放ったのが山内和弘。“シュート打ちの名人”と呼ばれた大スターの若き姿だった。巨人には好打の岩下守道一塁手や名脇役の内藤博文二塁手ら、間もなく一軍でプレーしたホープがいた。

 監督は毎日が若林忠志。2年前の初の日本シリーズ第1戦で勝利投手になっていた。“七色の変化球”の異名を取り、戦前からの有名野球人だったから、収容者は誰もが知っていた。もっとも大きな拍手を受けたという。巨人では内堀保。沢村栄治の投球を受けたことで知られる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  5. 5

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  1. 6

    元横綱白鵬が突然告白「皇帝の末裔」に角界一同“苦笑”のワケ…《本当だったらとっくに吹聴しています》

  2. 7

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  3. 8

    阿部巨人の貧打解消策はやっぱり助っ人補強…“ヤングジャイアンツと心中”の覚悟なし

  4. 9

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも