悲願の初V琴勝峰“らしくない”強気相撲はケガの功名…大関・横綱級の大器が「ひたすら前に出て攻めた」理由
「闘志がないわけではないが……」
190センチ、167キロの相撲取りとして恵まれた体格の半面、性格は力士のそれとはかけ離れているという声もある。
この日、中継で解説を務めた元尾車親方の琴風氏が「火がなかなかつかないおとなしい性格。師匠(佐渡ケ嶽親方)も苦労したはず」と話すと、前出の若手親方も「闘志がないわけではないが……」と、こう続ける。
「常に淡々とし、感情が表に出ない。問題はそれが相撲ぶりにも出てしまっていること。体格を生かしてガンガン前に出て攻めれば強いはずなのに、ケガのことを抜きにしても消極さが目立っていた。弟の琴栄峰について聞かれても、以前は『弟は弟、自分は自分なんで』とそっけなかった。それがインタビューではたったひと言とはいえ、『刺激になった』と答えたあたり、多少は心境の変化があるのかもしれません」
今場所は前へ前へと攻め続ける相撲で初優勝。ある意味、「らしくない」相撲ぶりで初Vを手繰り寄せた。
「ケガの功名ではないか。今場所前、5月場所直前に痛めた右太もも裏を再び負傷。満足に稽古ができなかった。ただ、かといって後ろに下がると患部に負担が集中し、下半身の踏ん張りが利かない。苦肉の策として、ひたすら前に出て攻めるしかなかったことが奏功したのではないか」(前出の若手親方)
来場所は平幕上位への昇進が見込まれている琴勝峰。琴風氏が「上に行って、(上位の壁に)はね返されたら意味がない。勝って三役と、そういう精進を期待したい」と話すように、真価が問われるのはこれから。今場所の「ケガの功名」を生かして、三役、大関、さらにその上と駆け上がれるか。
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大相撲と言えば“金星プレゼンター”豊昇龍の休場が波紋を広げている。昇進直後から3場所で2回休場した横綱は3代目朝潮、稀勢の里に続いて、史上3人目。その大成しなかった先輩横綱らと「不吉な共通点」があるという。いったいどういうことか。
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