阪神の独走を許した「巨人の大罪」…1点差にめっぽう弱い要因を元コーチ2人が看破する
まだ9月に入ったばかりというのに、マジックを6とした阪神のリーグ優勝が目前に迫っている。
2日現在、2位巨人とのゲーム差は16。開幕前は優勝を争うとみられたが、巨人は今季の阪神戦7勝17敗と大きく負け越し。あと1試合を残し、史上最多の18敗を喫した2023年に次ぐ負け数となっている。「阪神に独走を許した“A級戦犯”」といっていい。
先週末の甲子園での3連戦が今季を象徴していた。4-3、2-3、4-5と全て1点差で1勝2敗。巨人の今季の1点差試合は21勝25敗だが、優勝した昨季は25勝21敗と真逆だった。阪神戦の1点差試合も、昨季は7勝2敗と圧倒したにもかかわらず、今季は6勝8敗と負けが先行。特に夏場の7月以降の甲子園では、1勝5敗と競り負けている。
勝ち切れない理由は何か--。まずは失策数だ。2日現在、69でリーグワースト。最も少ない阪神は49だから、その差は歴然としている。
「今年は守り切れなかった印象です」と巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏がこう続ける。
「8月31日の阪神戦で、佐藤輝の右翼ポール際の高く上がった飛球を右翼の中山が捕球できず、適時二塁打にしてしまった。失策はつかなかったが、完全に守備のミスです。左翼方向へ吹く浜風に流されたというが、プロなんだから飛球は捕って欲しいというのが投手の本音。本職は内野の中山が、打撃優先で慣れない外野を守っているのも一因でしょう。田中将の日米通算200勝がかかった先月28日の広島戦でも、1点リードの二回1死満塁から、遊ゴロを泉口がバウンドを合わせ損ねてはじき、三塁から同点の走者が生還した。併殺ならチェンジだけに、田中将が気の毒でした。泉口は打率リーグ2位。得点力不足の打線にあって、打撃面を優先するひずみが、守備のミスの多さにつながっています」
守れない上に、攻撃ではなかなか走者を送れない。犠打成功率は.771でリーグワースト。捕手出身の阿部慎之助監督(46)は緻密な野球を好むが、選手が応えられていないのだ。
7月17日のヤクルト戦で、泉口が無死一、二塁から犠打を試みるもスリーバント失敗。阿部監督は「バントだったり、細かいことができなかったから、向こうに流れをあげちゃった」と1点差の敗戦後に嘆いたが、巨人でバッテリーコーチやファームの打撃コーチなどを歴任した秦真司氏がこう言った。
「その後、8月(17日)の阪神戦でも2点を追う九回無死一、二塁から増田大がスリーバントを失敗した試合があった。はっきり言って技術不足です。泉口や増田大はしっかり犠打を決めて欲しい役割の選手。今季の巨人が貯金をつくれず四苦八苦したのは、こういう部分のミスが多いためで、それが数字に表れています」
投手陣はどうか。イニング別の失点は、五回の60が最も多く、46失点の三回、45失点の八回が続く。前出の秦氏がこう言う。