著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

佐々木麟太郎が日米両球界に与えるこれだけの影響…世代トップ選手の米大学進学は日本初

公開日: 更新日:

 NCAAにとって重要な収入の一つが、放映権である。現在は日本に対して放映権を販売してはいないものの、今後コンテンツの多様化を図りたい日本の事業者がNCAAに注目し、米国の大学スポーツの中継が日本でも視聴可能になる日が訪れるかもしれない。また、佐々木のように日本の高校球界を代表する選手であれば、大学1年生のときから正選手として活躍できることが実証されたのも重要である。

 52試合に出場して打率.269、7本塁打、41打点という25年シーズンの佐々木の成績は、一見すると平凡なものに思われるかもしれない。

 だが、監督のデビッド・エスカーが「1年生の成績としては平均以上」と指摘しているのは見逃せない。これは、日本の高校で優れた成績を収めていれば、スタンフォード大学が所属するNCAAの最高位であるディビジョン1でも十分成果を残せるという米国の関係者の理解を示す。

 米国においても野球の競技人口の減少は大きな問題となっているし、大学スポーツにおいてアメリカンフットボールバスケットボールに後れを取っている。このとき、日本の優秀な選手を迎え入れることが現実的な選択肢となれば、水準の向上が期待される。佐々木麟太郎は日米両球界のこれからのあり方に少なからぬ影響を与える可能性を秘めているのである。

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