“熱い男”杉内俊哉 ベンチを殴って小指骨折、灰皿蹴飛ばすのは日常茶飯事だったが…
杉内に限らず、活躍する選手、特に昔かたぎの性格ほど、そうした面は往々にしてある。後輩の広報は「何があったんですか?」と驚いていましたが、まあそういうこともあるよ、と。
勝って泣いたのが西武と9月末まで優勝争いを繰り広げた10年です。この年は最終的にゲーム差なしの勝率2厘差で優勝。一戦も負けられない中、杉内は札幌で日本ハムのダルビッシュ(現パドレス)と投げ合い、1-0の完封勝利。杉内は感極まり、「よかった……ヤフードームで勝ってつないできて、勝ててよかった……」と、ボロボロ涙を流していました。優勝を決めたのは翌日の試合だったので、杉内も感無量だったはずです。
そんな男が一度だけ、弱気な態度を見せたことがありました。敵地・仙台での楽天戦。ブルペン投球を終えた杉内は野手陣の元に来るなり、「お願いだから点を取ってください」と頭を下げました。マウンドが合わず、杉内も「違和感しかない」と話していました。
試合が始まると、僕が見ても明らかに腕の位置が下がっており、制球に四苦八苦。野手が頑張って何点か取り、「これだけ点を取れば……」と言っても、杉内は「いやいやいや、ほんとにマウンドが合わないんで、何点でもいいからお願いします」と再び頭を下げる。これまでなら「1点でも取ってくれたら投げ切ってやる」と言わんばかりの杉内の珍しく弱気な姿でした。でも、その根底にあるのは最後までマウンドを守り抜きたい、という投手としての思い、プライドだったのでしょう。


















