著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

政治と無縁ではあり得ない トランプの「戦後体制変更」が揺さぶるプロスポーツと国際大会

公開日: 更新日:

 開幕は6月24日、欠場発表は21日、トランプの誕生日はその1週間前……それはともかく、全米から快進撃を再開したセレシュは93年4月、テニス史上最悪の事件に襲われる。ハンブルクのコート上で、狂信的なグラフ・ファンが背後からナイフで襲いかかった。

 謎に包まれた女王についてネットサイト「ミーツテニス」に書く予定だが、セレシュは長くトラウマに苦しみながら96年に全豪で優勝。03年にコートを離れ、14年に32歳上の実業家と結婚する。相手のトム・ゴリサノはNHLセイバーズのオーナーで、後に石油業界の富豪テリー・ペグラに売却している。女子テニス世界5位で活躍するジェシカ・ペグラの父親だ。

 3人の実業家はいずれもニューヨークとフロリダを拠点に、スポーツビジネスに絡んだ。

 女子テニスに限らずプロスポーツはアメリカで育ち、大統領になったトランプがいま強引に進める戦後体制の変更とも無縁ではない。アメリカに舞台を移すWBCではベネズエラが準々決勝進出を決めた。夏に北中米開催のワールドカップサッカーでスペインは大丈夫だろうか。次のロサンゼルス五輪にはトランプが物議をかもしたジェンダー問題が立ちはだかる……。

 プロスポーツが経済活動なら政治と無縁ではあり得ない。カギはそれすら楽しむ気の持ちようだ。3強時代を終えたテニス界に底値感が漂っても見続けたい。大坂なおみは今週、大富豪の人工都市、共和党が占める白人の街インディアンウェルズで戦っていた。

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