著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

谷口彰悟〈前編〉筑波大時代に「代表に行く選手」と確信した技術・スピード・人間性(元筑波大サッカー部監督・風間八宏)

公開日: 更新日:

DF谷口彰悟(ベルギー1部シントトロイデン/34歳)

 30歳で初の海外挑戦に踏み切り、2022年カタールW杯に初参戦。24年夏にベルギーに新天地を求めた直後、左アキレス腱断裂の重傷を負いながら25年秋に完全復活。2度目のW杯となる北中米大会では、代表最終ラインのリーダーとして期待を集めている。筑波大、川崎時代に足かけ6年間、指導した風間八宏・現南葛SC監督に話を聞いた──。

  ◇  ◇  ◇

 ──(母校)大津高の平岡和徳TAが「谷口は風間さんのところで大きく成長した」と話していました。

「(筑波大学の後輩に当たる)平岡のところから来る選手はみんな能力が高いんです。谷口に関しても『どこのポジションがいいのか』と平岡に尋ねたら『僕も分かりません』と回答した(笑い)。見た感じだと身体能力が高かったですし、将来的に日本代表になるならどこがいいのかを考えた時、ボランチとCBの両方で可能性がありそうだなと思いました。ただ、当時の筑波には森谷(賢太郎=川崎スタッフ)や八反田康平(JFL=ジェイリースFC)がいたので、まずはCBで使いました。昔のCBはただ跳ね返せればよかったけど、中盤でボールもつなげるような技術が必要となってきていました。そこにスピードがあればなおいい。彰悟は時代のニーズに合った選手だったと感じます」

 ──風間さんの代名詞である「ボールを止める・蹴る」の練習も徹底的に行ったそうですね。

「はい。その技術を高めないとサッカーが速くならないので。彼は熱心に取り組んでくれました。筑波大の学生は子供たちを教える機会もあるんですが、その時も本当にうまくないと見本になれない。彰悟自身『どうしたら子供たちとうまくプレーできるか』を考えたでしょうし、その経験を自分自身のプラスにしていったと思います」

 ──大学時代の転機は?

「1年秋の関東大学リーグだったと思うんだけど、『今日はあんまりよくないな』という日があって、右ワイドに抜擢したことがあったんです。本人は『これは罰ゲームだな』と思ったらしく、メチャクチャ頑張っていいプレーをした。川崎でも最初、左SBで起用したことがありましたけど、慣れないポジションでもだんだん自分のものにしてしまう。その吸収力や適応力の高さに驚かされた記憶が脳裏に焼き付いていますね」

 ──まさに万能型プレーヤーですね。

「そう。何をやらせても人や環境のせいにせずに高い意識を持って取り組むし、楽しもうとする。ボールを止める蹴るの技術があるし、フィジカル的にも総合力が非常に高い。しなやかに筋肉を使うのは簡単なことじゃないんだけど、彰悟はそこに長けている。だからこそ、どこをやってもこなせたのかなと思います」

 ──筑波では4年時にキャプテンを務めました。

「自分は彰悟が3年生の時に筑波を離れて川崎へ行ったと思うんだけど、プレーが一番安定しているし、技術も人間性も備えている。その3つを高いレベルで持っているんで、どこに行ってもキャプテンになる男。賢い選手の典型だと感じますね」

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