著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

アスリートの進化と裏腹に世界は退化…トランプは28年ロス五輪開催国の元首にふさわしくない 

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 今冬季五輪はオリンピックの変化する形を見せている。それは新しく取り入れられた種目において顕著である。

 特に分かりやすいのがフリースタイルスキーのデュアルモーグルだ。これまで実施されてきた選手1人で滑走するシングルモーグルを同時に2人の選手が競い合う形にして、速さとともに技術を競い、より高いスコアを出した選手が次のラウンドに進む。最後まで勝ち抜いた選手が金メダリストとなる。

 無数のコブを巧みに滑りぬき、ジャンプ台で回転し、ゴールする迫力をダブルで味わえるのも醍醐味だが、2人が滑り終わってゴールすると必ずお互いを称え合い、ハグする姿が自然に共感を呼ぶ。陸上競技の100メートル走でゴールした瞬間に互いをハグするシーンはなかなか見られない。

 オリンピズムは「より速く、より高く、より強く」を目指す。そしてゴールした後に競い合ったもの同士がその闘いの果てに相互に認め合う動きを奨励する。しかし、それは頂点を真摯に求めたもの同士がやっと到達できる類いまれな瞬間である。

 この新種目はその一大事業をルーティンのように見せるのである。この種目を見て育った子どもたちが描く世界は競い合った2人が称え合うゴールとなるだろう。夏季大会のスケートボードブレイキンがそうであったようにこの種目はオリンピズムのトリセツと言えよう。勝利以上に大切なものがあることを教示するのがオリンピックの使命であるからだ。

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