「蔦重の教え」車浮代氏

公開日: 更新日:

■「浮世絵を世に送り出した江戸の名プロデューサー蔦屋重三郎の物語です」

 日本が世界に誇る「浮世絵」。歌麿や写楽など、日本以上に海外で高く評価される絵師も多い。

「浮世絵を語るとき、絶対に欠くことのできない人物がいます。彼の名は蔦屋重三郎。通称“蔦重”は、多くの浮世絵版画を世に出した版元であり、歌麿や写楽を生み育てた江戸の“名プロデューサー”です。もし彼の存在がなかったら、浮世絵がこれほどまでに広まっていたかどうか。浮世絵を研究してきた私自身、20年以上前から彼に魅せられ、いつか小説を書きたいと構想を練ってきました」

■タイムスリップして蔦重と出会う

 本書は、著者が初めて手掛けた長編時代小説だが、物語の始まりが実にユニーク。時は現代で、会社から依願退職を強要された55歳の武村竹男が主人公だ。近頃は糖尿病を患い、食事制限の毎日。なのに女房は、フランスに嫁いだひとり娘の元から2カ月も帰ってこない。やけを起こしてしたたか酔い、稲荷神社の鳥居に立ちションしながら、「やり直してぇなぁ!」と叫んだ武村は次の瞬間、江戸時代にタイムスリップしてしまうのだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした