「房子という女」富樫倫太郎著

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■殺人鬼となった女のおぞましい半生

 累計45万部を突破した人気のSRO(警視庁広域捜査専任特別調査室)シリーズの最新作。本書では、前作で逮捕された近藤房子が、殺人鬼となるまでの自らの半生を赤裸々に告白。房子との格闘時に傷を負ったSROの山根新九郎と芝原麗子を相手に、背筋がぞっとするような房子の人生が淡々と語られる。

「殺し」の始まりは、房子が小学生のときに車にはねられて苦しんでいる犬を見て、苦しむくらいなら一息に殺してしまおうと撲殺したことから。次に仲の良かった姉が暴力的な父親が原因で自殺したことを契機に、実父の殺人に着手。その後、生き残るために邪魔な人間を次々手にかけていくが、当初正当防衛として始まった殺人が、他者の命を握っている万能感を味わうための快感殺人へと変わっていく。共犯者や被害者となった人間や自分と同じ嗜好(しこう)を持つ夫・近藤一郎との運命の出会い、自分を追いつめようとした嗅覚鋭い刑事をどうやって陥れていったかなど、容赦ない手の内が明かされていく。

 絶対に捕まらないために練られた冷酷な計画が見事。おぞましいストーリーながら、最後まで一気に読ませる。

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