「好日日記」森下典子著
「好日日記」森下典子著
筆一本で生きてきたエッセイストは、今も実家の2階を仕事場にして、机に向かっている。それは「職場で暮らしている」感覚で、仕事と私生活の区切りも休みの解放感もない。そんな著者にとって心から安らげる場所は、20歳から40年間続けるお茶の稽古場だ。
母から勧められるまま、一通り覚えれば終わると思って始めたが、それがまさか「生涯をかけても足りない宇宙の入り口だ」などと想像もできなかった。茶道の「小さな世界に無限の美」があり、「がんじがらめの決まりごとの中に自由」があり、「何もない余白が最も多くを語る」という。
本書は、季節の移ろいを取り入れ、際限なく変化するお茶の世界の1年間を小寒から冬至までの「二十四節気」に合わせてつづる茶道エッセー。 (新潮社 1100円)

















