「一線の湖」砥上裕將著

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「一線の湖」砥上裕將著

 大学3年になり、水墨画を極めるか、ほかの道に進むか進路に悩む霜介を、師の湖山は揮毫会のトップバッターに指名する。1枚の巨大な画面に湖山と弟子3人が一緒に絵を描くイベントなのだが、水墨画にとって最初の一筆は命そのもの。それを霜介に任せるというのだ。

 本番当日、筆を持ったまま立ち尽くした霜介は、画面を汚してしまう。見かねて湖山の孫の千瑛や兄弟子の西濱が猛然と絵を描き始め、我に返った霜介も加わるが、作品は台無しに。その絵に湖山は指で小さな蟹を描く。その蟹を見た霜介は師が引退を決断したことを悟る。失敗に意気消沈する霜介は、湖山からしばらく筆をおくよう言われる。会場に残された絵を改めて見ると、それは失敗どころか名画になっていた。

 映画化もされた「線は、僕を描く」の続編。 (講談社 935円)


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