「甘いお菓子は食べません」田中兆子氏

公開日: 更新日:

■「男に近づいている40代女性を描きました」

 女性向きの官能小説を対象とする「第10回R―18文学賞」大賞を受賞した著者のデビュー作で、6作の連作短編集。40代の女性たちを主人公に、婚約者、夫、セックスフレンド、ゆきずりの相手ら男たちとの関係が描かれた物語だ。

「登場する女性たちはお酒は飲んでもお菓子は食べないので、このタイトルになったのですが、最初に私が出したタイトル案は『私たちは男に近づいている』。仕事のできる男性が、自分を鼓舞するためにきれいな奥さんと結婚したり、若い女性をはべらせたりするじゃないですか。女性もそれと同じところまできてますよ、という世界を描きたかったんです」

 2編目に収録の「花車」は、大学生と高校生の子供のいる、売れっ子ビーズ作家の妻・武子と売れない日本画家の夫・宗太郎の物語。宗太郎は旧来の女らしさ、母らしさを妻に押し付けないタイプで、2人は仲がいい。ある夜、体を求めた武子に、宗太郎は「『おつとめ』は引退したい」と古めかしい言葉で拒否する。

「近ごろ週刊誌は『死ぬまでセックス』とかって書き立てていますが、淡泊な男だって多いと思う。武子は宗太郎に『セックスを嫌いになったのは性質で、あなたのことは好きだ。他の人とやっていいよ』とも言われます。武子は重い気持ちを吹っ切ろうと、中高年向けのセックス相手紹介所に登録するんですが、したくない男もしたい女も、アリだと思うんですね」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは