中年女の増えた「抜け毛」これも更年期のせい? いやしかし…美容師からの“言葉”に反省した秋【日日更年期好日】

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コクハク

どうも抜け毛が増えた気がする

 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第49話は「更年期の抜け毛」。

【日日更年期好日】

 最近、抜け毛がとても多い。酷暑を経て、やっと季節の変わり目を迎えたので、秋のせいかと思っていたけれど更年期真っ只中の身としては、少々引っかかる。ひょっとしてこれも更年期症状の一環なのだろうか。公共交通機関で、時折、毛量が少なくなって頭皮が見えている高齢女性の頭部を見かけるたび、何となく危惧はあった。

(いつか自分の髪の毛も抜ける日が来る…)

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 それでもまだ60歳にも満たないのだから、先の話。そう自らをなだめすかす。ただ、ここのところ髪の毛に指を通すたびに、何本か指に髪の毛が絡まってくる。感覚ではいつもより量が多い。以前、ヘアケアに関する本を制作した経験があり、その際に美容師から洗髪についてこう促された。

「毎日、髪の毛を洗っています?」
「…ほぼしていますかね」
「日本人は水道の環境が良いせいか、髪の毛を洗いすぎとも言われています。そのせいで傷みも激しいらしいので、汚れたり、ヘアケア剤を使った日だけ洗えばいいんですよね」

 言われてみれば自分が小学生の頃、毎日髪の毛を洗う習慣はなかった。それがいつからだろう、洗髪は生活習慣となり、リンスはトリートメントになっていた。薬師丸ひろ子が「ちゃん・リン・シャン(1本でちゃんとシャンプーとリンス略)」とC Mしていた、リンスインシャンプーを覚えている人はどれほどいるだろうか。あれめちゃくちゃ便利だったのに、ドラッグストアからすっかり姿を消した。あるのは地方のひなびた旅館だ。見かけると私は「おお、便利なやつ!」と息勇んで使っている。今はヘアサロン仕様の高級シャンプーとトリートメントが好まれている傾向が高く、ボトルで数千円する商品が売れているそうだ。確かに日本は国外と比較すると、水道インフラが整っているので毎日洗髪をするには便利。世界稀に見る洗髪大国に成り上がっていたらしい。

1日100本と言われましても

 さて抜け毛に話を戻そう。件の洗髪をしなかった翌日、いつもより抜け毛の量が確実に多くなっているのにゾッとする。髪の毛の洗った日はヘアオイルを塗布したあと、念入りにドライヤーで乾かすが、この時も結構な量の髪の毛が落ちている。要は乾燥時に抜け切らなかった髪の毛が、翌朝抜けているのか。何だか気になったので、AIで調べると「1日100本は抜けても大丈夫」と、私が10年以上前の取材で聞いた情報がアップデートされずに飛び出してくる。いや、アンタ、100本って…。簡単に表現するけれど、どうやってカウントせよと? 抜けた髪の毛を拾っておけと? うーん…。

 ちなみに抜け毛は意識的に髪の毛に指を絡ませて抜けたものだけではなく、自然と抜けているものも増えた。掃除機をかけていても、粘着カーペットクリーナーに付着してくるのは髪の毛ばかり。その掃除機が吸い取るメインのゴミも髪の毛で、女性はたった一人しかいない我が家なのに、ずっと髪の毛と格闘しているようだ。娘が二人いる友人が「髪の毛の掃除が大変で」と愚痴をこぼしていた。何だかこうして書いていても、だんだん抜け毛が憎くなってきた。

 とはいえ髪の毛は女性の見た目にとって必要な要素。実際、自分の髪の毛はどれくらい減っているのだろうか。20年近く、ヘアカットを担当してもらっている美容師に触ってもらった。

「毛量? そりゃ20代に比べたら減っている感じはあるけれど、年齢の割には全然多いし、ツヤもあるし、そんなに気にしなくてもいいですね。ヤバい量って、寝て起きた時に枕についている量が多かった時かも。枕についています?」
「3〜4本かな」
「だったら全然気にしなくて大丈夫。髪の毛って、想像以上に抜けるんですよ」
「へえ」

 ハラハラしていた気持ちが少しおさまった。ここは専門家の意見を信じて、今まで通り頭皮ケアと更年期ケアを怠らずにいこうと思う。最近、脳内が更年期細胞で凝り固まっていて、敏感になっていたかもしれないと、若干の反省をした2025年の秋。

(小林久乃/コラムニスト・編集者)

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