「死ともののけ」斎藤たま著

公開日: 更新日:

「死ともののけ」斎藤たま著

 1970年代から日本中を歩き調査してきた在野の民俗学者によるリポート。各地に残る死や葬送、墓制をめぐる習俗の中から「もののけ(モノ除け)」=「魔除け」の伝承を集め紹介する。

 著者は、葬送儀礼の根幹にあるのは、生者対死者の図式ではなく、生者及び死者とモノ=災いなす荒ぶるものとの対決だとする。

 その視点から、外で死んだ人を家に入れるときには箕(農具)を裏返しにして3回あおぐ、死者や重病人が出た家に行くときにはニンニクを身につけるなど、各地で聞いた習俗の共通点や理由を考察。寝かせた死体の上に魔除けのために置く刃物や箒、湯灌や墓穴を掘る人が身につける藁、出棺に先立って参列者に出す「でたち飯」など、足で集めた記録から日本人の死生観、葬送観を導き出す。 (KADOKAWA 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態